フランス/ロワール
品種:カベルネ・フラン
樹齢約65年のカベルネ・フランを10月末〜11月上旬にかけて過熟の状態で大部分を収穫。収穫しなかった一部の葡萄は木に残したまま干して、収穫した葡萄は屋根裏で陰干し。合計5週間ほど乾燥させ、全て一緒に3〜4日間かけてプレス。樽で9年間の発酵と熟成。
カベルネ・フランのヴァン・ド・パイユを造るのは2005年以来で、プレスした時点でジュースの香りや糖分、酸の凝縮感がまるっきり異なることに気がつきました。バランスを取るために結果として10年に及ぶ樽熟成を経てリリース。名前の由来はギリシャ神話に登場するオデュッセウスの旅ですが、知の探求の意味もあります。ナチュラルワイン造りも苦難と冒険、思考の旅と考えておりその意味も込めて。このワインにおける収穫から醸造で、パイユを造れる年は極めて限定されており、葡萄の樹に付いている状態で酸化と乾燥がかなり進んでいる必要があると悟ったそうです。この年以降、この品種でパイユを造ったのは2015年のみとなります。
オレンジがかった琥珀色で、黒葡萄で造ったとは思えないほど色調は赤からはほど遠い色合いです。ラムレーズンや白レーズン、ビターカラメル、カカオ、メープルシロップ、コリアンダー、ナツメグ、クローブなど凝縮感のある果実や芳ばしいビターな印象、スパイスなど複雑な香りが漂います。残糖60g/L、甘口ではありますが張りのある酸があることで口あたりは意外にさらりとした馴染みやすい印象で、滑らかに口中へと流れ込みます。ビターカラメルのようなほろ苦さとラムレーズンから溢れ出るような甘やかな風味、加えてパンデピスなどのスパイシーさが溶け込み、複雑性のある大人びた印象で、酸とビターな風味が甘さのバランス整えながらほどよい甘みが広がります。余韻にはクリームブリュレのようなビターカラメルとまろやかな風味が優しく続き、魅惑的でリッチな印象が残ります。(井n)
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