以前からお借りしている耕作放棄地で、自然農を実践すべく書籍などを参考に
作付け出来る状態へと変えていくため、畝作りをはじめました。
自然農は、「耕さない、除草しない、肥料を与えない、農薬を使用しない」と
ないないづくしの特徴を持つ農法です。
近代農業に適した品種改良されたF1種は、農薬、肥料を必要とするものが多いため
自然農にはあまり向いていないようなので、昔ながらの固定種在来種の種を使い野菜を作って行こうかと思っています。
なぜそのような農法かというと、工業化された近代農業によって姿を消してしまった、昔野菜の味が一体どうゆうものだったのか?味わってみたいからです。
私達が販売している日本酒、ワイン、ビールの原材料のなかには
自然農に近い、無農薬無施肥、在来種や固定種の種で育てたものを使って醸造されたものがあります。
それらの生産背景のストーリーだけではなく、慣行農法との味の違いや醸造時にもたらす効果を、自然農の実践の中から少しでも理解したい。
そして、きっと、おそらく、今はまだ感じ得ていない味覚(または味覚を超えた何か)があるのではないかと考えています。
一部のお酒を無農薬無施肥栽培米で仕込む山根酒造場は、強力※を復活させた酒蔵です。
※強力…今でこそ鳥取などで多く使われる品種だが、農業の近代化により1954年を最後に栽培されなくなった。強力は在来種から選別され、最大の特徴は線状心白を持つことであり、同様の心白をもつ米は他に山田錦と雄町がある。
山根さんから無農薬無施肥栽培米について以下のことをお聞きしました。
・除草剤を使わない米は心白が中心に来てあまり削らずに米を使うことができる
・雑味のもととなるタンパク質の数値が低い
・化学肥料を使うと苦味がでる
強力で造られた酒は、新酒上槽直後では香りも沈んでいて華やかさはないものの、熟成するとその味わいは豹変し、何ともいえないコクが現れる典型的な秋あがりタイプのお酒となるそうです。
鳥取県若桜町糸白見地区で杜氏自ら無農薬無施肥で育てた強力で造られた、25BY/精米歩合80%の純米酒を飲んだ時、低精白かつ五年以上の熟成を経たお酒でありながら
いわゆる一辺倒な古酒の味わいやくどさがなく驚きました。
無農薬無施肥栽培が、環境のため身体のためだけではなく
熟成に耐え、米のポテンシャルを最大限引き出すことができる、「味わいにとっても最良の栽培方法なのだ」ということは、このお酒から教えてもらったことです。
できた畝には秋蒔きの種も少しずつ植えています。
借りている畑は山間部で湧き水も近くにあり、いつか稲作もやってみたいと思います。
またご報告いたします。